ヘロリペロリ日記

 〜仏像のポーズに合わせて身体の感覚を澄ませると伝わってくる「国宝感覚」とは? 〜
【ヘロリ山崎より】
こんにちは!
もう「ヘロリ・ペロリ」か〜、と思いながら綴っています。最近、割と頻繁なやり取りが続いておりますね。というのも次回の身体感覚講座は6月8日(日)。前回の興奮も覚めやらぬままの開催ということで、初夏から梅雨の「身体作り」に集中したいと思っています。
ああそうそう、次回は日曜日の開催ですので、普段、土曜日だと参加が難しいという方、また、一度参加してみたかったという方がいらっしゃいましたら、まだ参加人数には余裕があるようですので、ぜひ検討くださいませ!
前回の講座では、初夏に向けて身体を整え、チューニングしていくことで、だんだんと瞑想の世界へと入っていきました。今、ちょうど東京国立博物館で『平城遷都1300年記念「国宝 薬師寺展」』を行っていて、国宝の日光菩薩月光菩薩を直接見ることができるのですが、それぞれの取っているポーズにはちゃんと意味があるということを体感しましたね。
向かって左側に月光菩薩、右側に日光菩薩が、真ん中に薬師如来を守る形で立っているわけですが、それぞれの菩薩のポーズを模して立ってみると、身体の右半分と左半分で身体の中に生じてくる感覚がずいぶんと異なることがわかりました。
身体の内側が密度の高い濃密な状態になる半身と、すーっと流れるような、すっきりとした気の流れを感じる半身です。極端に異なる感覚が一つの身体の中に同居する状態となっています。なんとなくですが、身体の内側にあるバランスの均衡を取りながら、僕たちは生活しているわけですが、今回のような「ある意味を持って取るバランス」が“型”であり、ヨーガのポーズであるのかもしれないなあと思いました。
仏像と同じポーズを取って、目の前の仏像を眺めると、それが国宝であることの意味が伝わってくるというお話を松田さんから聞いて、ぜひ直接、仏像を見に行って見たいと思いました。「薬師寺展」は6月8日までですので、それまでに見に行こうと思います。
さて、次回の身体感覚講座はすでにお伝えしたように6月8日(日)です。二十四節気では「芒種」が6月5日です。稲や麦の種が発芽し、農家では田植えが始まり、本格的な農繁期を迎えます。この前、桜が散ったと思ったら、もうすぐ梅雨入りです。仏像の解説とあわせて、この時期の身体のことなんかを、お返しいただけるとうれしいです。

【ペロリ松田より】
呼吸器が活性化してきた初夏に入ったと思ったら、もう鬱滞化してくる梅雨がやってきますね。なので、前回は本格的な呼吸法も交えて講座を進めてみました(次回もそのつもりです)。
さて、アメリカを経由していない、インドの古典派ヨーガにおいては、ヨーガにおけるアーサナは瞑想そのものへとつながる可能性を秘めています。そして呼吸法の時には、左を「月の道」、右を「太陽の道」とお伝えしています。
で今回、上野にお出ましになっている菩薩様方に話を戻すと……。今から約1300年前に造られた薬師寺のものをはじめとして、この時代は三位一体形式の仏像が多く、呼吸法における太陽・月の道を説明するときには分かりやすい例かな、と思って楽しみにしていました。真ん中に鎮座する薬師如来さんにとっては、長年ずっと一緒に居た両脇の方々が急にいなくなってしまって、さぞかし淋しいでしょうけれど。
ところが、実際に東京国立博物館に行ってみると、中央の薬師如来さんにとっての右手側に月光菩薩様、左手側に日光菩薩様がいらっしゃるのです。アレッ!? 身体のエネルギーの流れに付けられた名と逆なんじゃない?一体どういう訳? 身体では右側が太陽、左側が月のはずなのに!?
「どうしてだと思いますか?」と皆に質問して出てきた答えがいろいろで、面白かったですねェ。「上野に運んだときに、置き方を間違えたんじゃない」とひっくり返りそうな答え(本人は真面目に言っている)や、「横並びになった三体でエネルギーをプラスマイナスゼロにしている」とか深読みしすぎ、皆からよくわかんないという声がすぐに上がったりの答えとか、もうさまざま……(笑)
「いやいや、身体の勉強をしている者としては“言葉”に騙されちゃいけないよね。身体の無意識の領域にアクセスするために、この世界は技や仕掛けに充ち満ちていますからね……。」なあんて言って、まずはこの二体の菩薩様方のポーズを正確に自分の身体で再現してみようというところから前回の講座は始めてみたのでした。
御二体とも、仙骨を中央に寄せ、中央側の腕はヒジから上にあげて印を組み、外側の腕は下に降ろし手首は反らせてこちらの指も印を組んでいらっしゃいます。仙骨が片側に寄っている割には、頭頂部は真ん中にあります。
さて、この体勢を取ってみた時、気の流れは左右どちらに起こるでしょう?エネルギーが流れてるってどんな感覚なのでしょう?
と、講座の中であれやこれや体験してもらって、最後にもう一度、この姿勢を取ってもらったのでありました。
それにしても…国宝級のものは本当に素晴らしいと思います。ただただ造形として美しいというだけでなく、その形の中にエネルギーを内包している。それを“型”と本来は呼んだのでしょうねェ。すぐれた型の中には、必ずある感覚が同時に潜んでいるというのがよく分かります。
そして、それを見抜いて「これは国宝」と分かる人たちの審美眼というのもスゴイなあと……。でも私たちはそれを無意識レベルでも感じ取っているから行列を作ってまでも観に行くのかもしれませんね。
山ちゃんが行くなら、是非、自分の身体で確認してきてください。同じ形を取らなくてもエネルギーを内包している型は、それを観ている者にも呼び起こさせる力を持っています。
でも、もしその型を真似したくなったら、鏡を見ているようにすると良いと思いますよ(笑)

【ヘロリ山崎よりちょこっと続き】観てきましたよ!菩薩サマ。二体の菩薩様と正面から向き合ったり、本来、
薬師如来様が鎮座する真ん中に立ってみたり……。その日の僕のコンディションだと、月光菩薩様の方に気持ちが引き寄せられました。二体のお顔を見上げながら、太陽と月、陰と陽、男と女、父と母などと、対照的なものごとをいろいろと思い浮かべたりしましたが、頭で考えたときの「区分け」とか「落としどころ」のような都合の良い答えは見つからず、ただただそれぞれの菩薩様を眺めては、「むう」と何度も唸ってしまうだけでした。
何度見上げても圧倒的な存在感でしたよ。型はもちろん真似してみましたよ。でも鏡写しでしたか〜。普通にそのまんま真似しちゃいました。

【ペロリ松田プロフィール】
■松田恵美子(まつだえみこ)
身体感覚育成講座講師。現代人における生命力の発露を探究。日々の動作や日本文化における型などを感覚からひもとき、日常生活に活かせる知恵や技として活用することで、自分のからだを自分で育む姿勢を伝えている。学校教育における教材化の研究協力にも携わる。
Be-nature school講師。共著に『自分という自然に出会う)』(講談社/刊)
『おとなの自然塾)』(岩波アクティブ新書)。
監修『旧暦美人のすすめ)』(東洋経済新報社) 2007年3月発売。

【ヘロリ山崎プロフィール】
■山崎義高(やまさきよしたか)
「きゃりあ・ぷれす」編集部を経て、現在はフリーのライター。
『旧暦美人のすすめ(東洋経済新報社)』『はつらつ元気(芸文社)』『コブスオンライン(コラム担当)』< http://cobs.jp/jijinews/trend/ >『スポーツキッズ(ベースボールマガジン社)『オーマイニュース(市民記者として)』< http://www.ohmynews.co.jp/profile/n14083 >
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